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執筆者の写真陵亮 伊藤

【汗腺のしくみ】健康雑学



こんにちは(^^♪整体×ヨガのプライベートサロン【Refresh Labo R.I.T.】整体師の伊藤です(^^) 今回は【汗腺のしくみ】という内容で書いていきます。 少しマニアックですが、汗腺もなかなか面白い! 何か参考にしていただけると嬉しいです(^^♪

汗腺の種類

”汗”は汗腺から分泌されます。 「汗とは?」的な内容は前回までの記事に書いています(*^^*) 是非見てみてください。

汗腺には ■エクリン線 ■アポクリン線 の2種類があります。

それぞれ構造や性質が違い、人間の汗腺はほとんどがエクリン線です。 いわゆる”汗”とは、エクリン線から分泌されたものを言います。

汗がよく出る日は「エクリン線が元気じゃ」と思いましょう!!

全身にエクリン線を持つのはヒトと一部の類人猿のみであり、 ほとんどの哺乳類では足裏や鼻先、尾の一部にのみエクリン線が分布しています。

また、人間はエクリン線からの分泌物によって 「体温調節」を主に行いますが、他の哺乳類では役割も少し違い、 たとえば、足裏のエクリン線は”滑り止め”の役割 地面を湿らせて闘争・逃走の際に身動きを取りやすくする、とされています。

猫の足裏に制汗剤を打つと、滑って転んでしまうそう・・・!



エクリン線とは?

エクリン線の見た目は、簡単にいうと 「片側が、糸くずが丸まって絡まったような、一本の管」です。 下の図を見てもらうと分かりますが、 皮膚に向けて伸びる管の根本はぐしゃっと丸まって絡まっています。

単体で見ると見た目は雑ですが、きっとすごく効率的にデザインされているのでしょう!

この絡まった部分を「線体」といい ■汗の原液(前駆汗)をつくる分泌管(分泌コイル) ■汗を皮膚面に運ぶ導管の最初の部分(曲導管) からなります。

一方、皮膚に向かって伸びていく管の部分を「導管」といい ■線体からまっすぐ表皮に向かう部分(直導管) ■表皮内で左巻きにらせん状になる部分(表皮内導管) ■皮膚の表面で汗が出ていく部分(汗孔) からなります。 また、アポクリン線に関しても大まかな構造は似たものですが 大きさがエクリン線よりも大きく、分泌能力が低いのが特徴です。



エクリン線の数と能動汗腺数について

エクリン線は全身におよそ200万~500万個あるとされています。 しかし、そのうち汗を出す能力を持つものは 日本人の場合、平均230万個です。 汗を出す能力を持つ汗腺を能動汗腺 汗を出す能力のないものを不能汗腺 といいます。 能動汗腺は、1つあたりで2~20ナノリットルの汗を分泌しますが、 その量は線の大きさによって異なり、およそ10倍もの差があります。 ※「能動汗腺が多い=汗っかき」ではない。 汗の分泌具合は線の大きさと分泌能力に左右される。 例えば、 太っている人は汗っかきに見えるが 痩せている人と比べて能動汗腺数が多いわけではなく むしろ体表面積が広い分、体表当たりの能動汗腺数は少ないといえる。

汗っかきの人には「エクリン線でかいな!」と言ってやりましょう!

汗腺は、産まれてまもない胎児期から徐々に全身に分化していき、 生後2年半ごろまでに能動化が進みます。 そしてそれ以後は能動汗腺数はほぼ変わらない、とされており 「能動汗腺の数は生後2年半までの環境に依存する」ということになります。

※成人の場合でもあまりに暑い場所に移りすみ、暑さに慣れていくと「能動汗腺数が増える」という研究報告もあるようです。
不能汗腺は「まったく汗をださない」わけではなく、 「汗を出すまでの閾値が高い」という考え方もあり 環境が変化するいざという時に備えた器官と考えられます。
人間の身体は可能性に満ちていますね!


能動汗腺数と環境

能動汗腺数は基本的に生後2年半までの環境(生まれ育った暑さ)によって変わるとされています。 たとえば 熱帯地域に住むフィリピン人の能動汗腺数は平均280万個であるのに対し 寒帯地域のロシア人では平均190万個しかない、と研究結果があります。 日本人の平均は230万個ですが、日本人がフィリピンで生まれ育つと、やはり能動汗腺数は増えるようです。 このことから「生まれ育つ地域」がカギになるとされていますが、 別の研究では アメリカに住む白人男性は平均250万個の能動汗腺数なのに対し 同じアメリカに住む黒人男性は平均220万個しかない、とう結果もあり 人種による差異もあるのではないか?という指摘もあります。

人間の深部体温の適温は人種差なく同じだから、 同じ地域にいると温暖な土地出身の人のほうが能動汗腺が少なくても能力が高く対応できるんですかね。


アポクリン線とは?

エクリン線と能動汗腺数について書いてきましたが、 もう一方の汗腺、アポクリン線とは何なのか? アポクリン線は、多くの哺乳類では有毛部のほぼ全域に分布しています。 ヒトの場合だと ・脇の下 ・瞼 ・耳の孔 ・鼻 ・陰部 など一部の皮膚にのみ見られます。 アポクリン線の大きな役割として”フェロモン”としての役割があります。 フェロモンによって異性をひきつけ、性交渉と種の保存の確立を上げる重要な役割を担っています。 アポクリン線は、エクリン線よりも大きな構造をしているが分泌能力は低い、という特徴をもっています。 また、ヒトでは胎児期にアポクリン線が全身に分化しますが その後退化していき、エクリン線が全身に分化します。 このことからも アポクリン線から進化してエクリン線になっていることが指摘されています。 アポクリン線は人種によって発達度合いがちがい、毛の発育にも関連が深いです。

ヒトは脳の進化によってコミュニケーションや文化が発達したために、フェロモンだけでは異性を選ばない・・・? 逆に、フェロモンで勝負したいなら”脱毛”は愚策なのかも?(笑)




汗腺の神経支配

汗腺につながる神経は「発汗神経」とよばれ交感神経系です。 交感神経は簡単にいえば”興奮”の時に働く神経ですが、 エクリン線の発汗神経は特殊なつくりをしています。 通常、交感神経からは「ノルアドレナリン」という伝達物質が分泌されます。 これは「アドレナリン」の前駆体であり、血管の収縮や血糖量増大などの作用を持ちます。 しかし、 エクリン線の発汗神経からは「アセチルコリン」が分泌されます。

アセチルコリンは通常、副交感神経(リラックスに作用する神経)から分泌されるもの 内臓の働きを良くしたり脈拍を遅くしたりなどの役割を持ちますが どういうわけか、エクリン線の、交感神経系である発汗神経からこれが分泌されます。

分泌物で判断するとしたら、エクリン線の発汗神経は副交感神経と分類されてもいいのかも? ”汗”は「興奮」とも「リラックス」とも言えない特殊な分類ってことなのかもですね



まとめ

【汗腺のしくみ】いかがでしたか?(*^^*) マニアックな話ですが、なかなか興味深いですよね! 何か参考にしていただけると嬉しいです(^^♪ 次回は 「汗でお酒は抜けるのか?」という 酒飲み必見の内容でお届けの予定です(^^♪ 是非お楽しみに(*^^*) 最後まで御覧いただきありがとうございました!



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